舌下免疫療法って何? 結膜炎にも効くの?
2025年春の花粉飛散予測が発表されました。
ポイントは
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今年の夏の猛暑が影響し、2025年春の飛散量は広い範囲で例年より多い
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2024年春の飛散量が少なかったことも影響し、四国・中国・近畿は例年の2倍以上の所も
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2024年春に比べ、九州から近畿、東北南部などで2~8倍に
だそうです。今年の春も備えが必要そうです。この記事では”舌下免疫療法”について取り上げていますが、過去に点鼻薬が目のかゆみを改善するかどうかについても書いています。こちらも読んでいただくと、理解が深まると思います。
舌下免疫療法ってなに?
舌下免疫療法は、アレルギー症状を改善するための治療法の一つです。
この治療法は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量ずつ体内に投与することで、徐々にアレルゲンに対して体力をつけて、最終的にアレルギー症状を軽減することを目的とする治療方法です。
ただ、この舌下免疫療法は需要の増加に伴い、新規受付を停止しているクリニックがほとんどです。とはいえ、再開時に初動がスムーズになるよう、舌下免疫療法の知識を身に付けておきましょう。
舌下免疫療法の特徴
さて、舌下免疫療法の特徴をここで列挙しますと、
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1日1回、舌の下に治療薬を置いて服用する
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最初は医療機関で服用し、問題なければ自宅で服用する
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スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎に対して保険適用がある
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従来の皮下注射による免疫療法と比べて、痛みがなく簡便に行える
これだけ読むと、非常に簡単に行える治療で、負担が少ないように思えます。ただし、スギ花粉症やダニに対してアレルギーがある場合に限られる点は注意したいところです。
たまに、「ヒノキアレルギーです」「ブタクサアレルギーです」という方がいますが、舌下免疫療法の保険適用は、スギとダニだということを覚えておきましょう。
アレルギー性結膜炎への効果
さて、気になるのは舌下免疫療法の効果ですよね。
2011年に報告された論文によると、42の試験を包括的に検討した結果、SLITはプラセボと比較して総眼症状スコアを有意に減少させることが分かりました。特に、
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目の充血
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目のかゆみ
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涙が出る
ことに対しては有効なようでした。よって、上記の症状で悩まれている方は、より効果が期待できると思います。しかし、目やにが出る、目が腫れているなどの症状に対しては期待通りの効果が得られづらいかもしれません。
舌下免疫療法の注意したい副作用
この舌下免疫療法は簡便で、治療による効果も得られるため期待が高まります。しかし、舌下免疫療法ではその副作用について、理解しておく必要があります。
舌下免疫療法で起こりうる副作用は、アレルギー症状が出ることです。具体的には、
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口の中のかゆみ、刺激感、不快感
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のどの腫れ
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鼻水、鼻づまり
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吐き気、頭痛
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腹痛
などがあります。そして、最悪の場合は血圧が低下したり、意識が低下したり、アナフィラキシーショックなどをきたすことがあります。
※アナフィラキシーショック:アレルギー反応によって複数の臓器や全身に症状が表れ、血圧低下や意識障害、失神などの重症な状態
このリスクは皆さんにありうることは理解しておく必要がありますし、それが出ないかどうかを判断するために、舌下免疫療法の初回は医療機関での服用を行います。
その他に舌下免疫療法で注意したい点
その他に舌下免疫療法で注意すべき点は治療期間の長さです。舌下免疫療法は3-5年ほど治療を行います。中には中断してしまう人がいますが、中断すると期待通りの効果が得られない場合があるので注意が必要です。
参考文献
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