オルソケラトロジーについてPart2
オルソケラトロジーの安全性と注意点
オルソケラトロジーについてPart1を読んで、オルソケラトロジーができそうだということが分かった方の中には、「オルソケラトロジーって安全なの?」と思われた方も少なくないと思います。
でも、オルソケラトロジーは”きちん”と使えば安全です。”きちんと”使い方を守って、”きちんと” 定期的に眼科を受診する
これがオルソケラトロジーの安全性確保のためには重要になります。20歳未満の場合ですと、視力が安定しないこともありますが、この”きちんと”使えない場合があるため慎重に使用することが適応基準に組み込まれている理由です。
具体的には、下記のような注意点を説明しています。
オルソケラトロジーの注意点
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基本的に毎晩の装用が必要で、可逆性であること。
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視力は変動する場合があること。
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40歳前後からは老眼が始まるため、オルソケラトロジー使用が近見視力の障害や眼精疲労の原因になること。
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光のまぶしさやハッキリと見えないなど見え方の不具合が発生する可能性があること。
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装用時間による視力補正効果は個人差があるため、適切な装用スケジュールを守ること。
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特殊なデザインのHCL(ハードコンタクトレンズ)のため、HCLによる目のトラブル(角膜上皮障害、感染症など)が起こりやすいこと。
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オルソケラトロジー終了時はオルソケラトロジーは返却すること。
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本人の理解不足、オルソケラトロジーの効果不十分な場合は、オルソケラトロジーを中止する場合があること。
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オルソケラトロジーは自由診療であること。
これらの注意点があることをよく理解しておく必要があります。
オルソケラトロジーの合併症
さて、オルソケラトロジーにも他の治療と同様、さまざまな合併症があります。そこで、国内臨床試験での合併症頻度を解説します。実際の合併症の割合は、
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角膜上皮ステイニング:5.7%
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アレルギー性結膜炎:4.0%
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corneal iron ring:0.7%
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球結膜充血:0.4%
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角膜上皮びらん、Dimple veil、下眼瞼腫脹、麦粒腫、球結膜下出血:0.1%
コンタクトレンズによる治療であるため、コンタクトレンズによる合併症と類似したものが多いですが、中にはオルソケラトロジーで目立つものも存在しています。このような合併症を防ぐため、適切なケアが必要です。
オルソケラトロジーのケア方法
オルソケラトロジーは通常のコンタクトレンズと同様に扱う必要がありますが、オルソケラトロジーレンズは界面活性剤によるこすり洗いに加え、ヨード剤による消毒が推奨されています。また、レンズケースは、中和剤除去のため水道水で洗浄・すすぎをしましょう。その後は乾燥させ定期的に交換するようにします。
ただし、ポピドンヨード剤はアレルギー反応が出ることがあります。アナフィラキシーショックとなり、命にかかわることがありますので、ネットなどで購入される方は注意してください。全身に蕁麻疹が出たり、腹痛・嘔吐、呼吸が苦しいなどの症状があれば、必ず内科等を受診し、ヨード剤を使用した旨を伝えるようにしてください。
おわりに
オルソケラトロジーは裸眼で視力が出る治療方法ですが、その適応と禁忌、合併症や管理方法などについて正しく知っておくことが重要です。オルソケラトロジーをしている方はもちろん、今後使う方はこの記事の内容を思い出していただき、参考にしていただければ幸いです。
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