近視の本当の恐ろしさ

近視大国・日本で身近な人の目を守る2つの習慣を紹介します。
ドクターK@眼科医 2023.03.01
読者限定

今回は近視のメカニズムと、今日からできる近視の進行を防ぐ方法について解説します。

近視は子どものうちに進行することがほとんどです。ですから特に、あなたのお子さん、あるいは関係のあるお子さが近視の進行を防ぐことができるように書いています。

「自分も近視で苦しんでいるので、子どもには同じ思いをさせたくない」

「近視は良くないイメージがあるので、子どもを近視にしたくない」

このような悩みがある方はぜひ読んでみてください。

この記事でわかること

  • 「遠くが見えない」のメカニズムと原因

  • なぜ日本は近視大国なのか?

  • 本当に怖いのは「失明しやすい」こと

  • 進行を防ぐための2つの習慣

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物を見るメカニズム

近視について説明する前に、まずは私たちがどのように物を見ているのかを理解する方が良いと思います。

光は真っすぐ前から目に入り、角膜、水晶体を通って、網膜に像が結ばれます。そして、その像の情報は視神経を通って、脳へと伝わります。脳へ伝わった情報から私たちは「これはイスだ」「これはカメラだ」と物を理解することができます。 このような順番で、私たちの目に入った光から、物を理解することができます。

近視とは

では、近視とはどのような状態を言うのでしょう? 近視は少し難しい言い方をすれば、「目が前後方向に長くなり、目に入った光のピントの合う位置が、網膜より前になっている状態」と定義されます。 

分かりにくいので、具体例を挙げてみます。例えば、近視があると、空を飛ぶ遠くの鳥はぼやけて見えます。しかし、近くにあるスマホなどはハッキリと見えます。

このように、近視では遠くにピントが合わず、近くではピントが合う状態のことを言います。そのため、私たちはメガネやコンタクトレンズを使って、このピントを合わせて遠くの物を見やすくしています。

近視は世界中で増え続けている

ここ数十年で近視は世界的に増えてきています。2050年には近視は世界の人口の約半分(約50億人)、強度近視は約10%(約10億人)になるだろうと予測されています(参考文献1)。

特に、アジアには近視の人が多く、日本もその例外ではありません。 都内1416名の小中学生を対象にした2017年の調査では、小学生で近視が76.5%、中学生で94.9%でした。さらに、強度近視(等価球面度数≦-6.0D)は小学生で4.0%、中学生で11.3%と報告されました(参考文献2)。

このように、近視の進行を防ぐことは日本だけの課題ではなく、世界的にも大きな課題であると言えます。

近視がなぜ注目されているのか?

近視が問題とされるのは、数の多さだけではありません。遠くが見えづらくなるだけであれば、多くの方はメガネやコンタクトレンズを使えば日常生活に困らないくらいは見えるようになります。

しかし、実際は「失明につながる」恐れがあるのです。

近視の程度が強ければ強いほど、白内障や緑内障、網膜剥離などの目の病気を持つ方が多いです(参考文献3)。これらの病気は進行する、あるいは手遅れになると失明の原因になります。

このように、短期的に見れば、近視はメガネなどで対応できますが、長期的に見れば失明につながる状態なのです。

近視の進行を防ぐためには

近視の進行を防ぐ治療として、目薬やメガネ、コンタクトレンズなどが開発されています。これらについては詳細は、今後の配信で解説する予定です。

今回は、今日から無料でできる近視を防ぐ習慣について解説します。

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